2016年10月23日日曜日

ETSを受けて満足している人と後悔してる人・リバーサル手術を受けて効果があった人となかった人 - 過大評価と過小評価

先日私は ETS被害者の会2 ★3 の掲示板に次のように書きました。

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正直に言うと、手術を受けた結果良くなった人も確かにいますが、効果が実感できないという方のほうが多いです。ざっくりで言えば、10人中で良くなったのは2人か3人程度かもしれません。長期で連絡が取れる人は少なくなっていて、本当に私も分からないです。そもそも最初は私もそれが知りたくて、自分より先にリバーサルを受けた人を探すつもりだったのです。でも見つかりませんでした。

これについて数字が一人歩きするのも心配なので、少し補足を書いておこうと思います。


ETSに満足した人の過大評価
まず、同じ掲示板の 501 に比較対象として良い例がありました。

医者は、代償性発汗をただの汗という。
訴えてくるのはお前だけだぞという。
満足度は9割を越えているという。

この9割の根拠について考えてみたいと思います。

私はこうなってると思います。
1.医者の算出結果である。
2.医者は手術した数を全体数としてカウントする。
3.手術直後の満足度を算出する。
4.その後辛い症状を訴えた人のみを不満足としてカウントする。
5.残りを満足したと判断する。

4も代償性発汗と認めた人だけかもしれません。つまり、医者が「ただの汗」だとして説明し、納得してもらった人を代償性発汗の被害として認めない可能性があります。ここで「納得してもらった」というのは患者が受け入れたか訴えが通じずにあきらめたかは考慮しません。

このようにすることでETSの手術に9割が満足しているという数字を作ることができます。


リバーサルに効果があった人の過小評価
今度は私が書いた効果があった人が2割か3割という数字の算出根拠です。

1.私の算出結果です。
2.リバーサル手術を受ける時に連絡があった人を全体数としてカウントしました。
3.手術後に連絡が取れなくなった人が過半数です。
4.連絡が取れる人のうち、効果があったと連絡のあった人を効果があったと算出しました。
5.連絡が取れる人のうち、今のところ何も変化を感じていないという人は効果がないと算出しました。

仕方のない話ですが、3が非常に多いのです。
効果があったらお伝えしますねって言ってくれた人もたくさんいるのですが、自身の回復そして自身の生活も大事だと思います。変化は感じても汗が減るのには最低でも3年はかかり、納得いくレベルになるのはそれ以上だと思います。なのでそれはそれで良いのかなと思ってます。

4と5を比べると、4の方が若干多いと思います。
でも「変化はあるけど汗は減らない」が微妙なので、そこは私の方で判断しました。まだ年数も浅い人も多いので、正しい判断はできなかったかも分かりません。

私はそれを踏まえ、4だけをカウントしました。
十数人は効果があったと今でも連絡をもらっています。昨日はsilverさんが こちら にコメントしてくれましたし、あかさんやshinobuさんも変化を感じているとブログに書いています。

私から大きな期待をアピールすることはできませんでした。なのでこの2割か3割というのは一番悪い算出根拠です。最終結果として2割か3割しか回復しないという意味ではないことに注意してください。
そして、このようにしたのは、それでも受けたいという人が行くべき手術だと考えているからです。


変化を感じられないという人はいるものの、反対に悪くなったという人も聞いたことがないです。
痛みはほとんどが一時的です。姿勢をずらしたり咳き込んだりするとピリリとするという人は聞いたことがあります。silverさんは痛みが残ったと言ってましたが、昨日の連絡ではそこは協調してませんでした。
傷跡は気にされる方も全く気にならないという方もいます。私は蚊に刺された跡よりもはるかに薄いので全く気になりませんが、半々で気になるようです。みんなから聞いている限りだとテラランタ先生よりも今のドクターの方が傷跡は目立つ可能性が高いのかもしれないです。また、傷跡を除去する手術を日本で受けられた女性の方が1人、受けようか考えているという相談を受けた女性の方も1人いました。
術後に若干汗が増えたという人はよくいます。肋間神経を切除したからかもしれません。それでもつなげた箇所の方が影響は大きいので、長期的に汗を減らすために必要な行為じゃないかなと思います。


回復している人の状況についてまとめるとこうなります。

・ETSを受けて期間の短い人は回復の良い人が多い。
感触だと1年半未満は早期に回復を実感できる人が多いです。上半身の神経が完全に枯れる前なんじゃないかなと私は考えています。私もこの中に入ります。

・運動している人は回復の良い人が多い。
ETSを受けて10年以上経っていた40台半ばの女性で、スポーツにものすごい取り組んでる方がいました。その方からいただいた連絡では、ひょっとしたら私よりも初期の回復は良い感じでした。私も運動はかなりした方だと自分では思っています。

じゃぁ1年半以上経った人はどうかと言われると、私は年数ではそう大きく変わらないんじゃないかと個人的には考えています。いったん完全に枯れた後の回復は、リバーサル手術で神経をつなげて、運動をするとか汗をかくことによって回復が進むんじゃないかと考えています。これはフィンランドのドクターとは考え方が異なる所になります。フィンランドのドクターは年数が経つほど回復はかかるかもしれないというアドバイスを良くされているからです。


どこまでを満足と考えるかにもよりますが、完全に元通りになった人は今のところ聞いたことがないので、そこまで求めると現時点では0%だと思います。手汗が元に戻る可能性も現時点は同じだと思います。


私はもう14年半経ちましたが、まだ回復途中で、そして今でも神経はつながりきるはずと考えていて、そのときにはしびれやパニックもなく、代償性発汗のない体にまで戻るつもりでいます。

そうなれるのは、リバーサルを受けても、15年以上はかかるかもしれないということです。


もし疑問点や意見、質問などがあったらコメントしていただけたらなと思います。

では。

まるとん

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10 件のコメント:

  1. 私もまるとんさんの考え方に近くて、神経は完全には枯れないのではないかと思います。もちろん、早ければ早いほど良いとは思いますが、後遺症の症状に個人差があるようにリバーサルも。前に、海外が理由で断念するのはもったいないとありましたが、そのとうりだと思います。私も体力をもどし、家族を説得できれば、フィンランドへ行きたいと思います。パニック発作がネックですねぇ。掲示板の方でも、抱える事情が様々ですので、温度差がありますね。あと個人的にフィンランド行きたいなぁと。ムーミンのアニメよくみてたし。ゆっけ

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    1. コメントありがとうございます。

      私の枯れるという表現は完全に干からびるという意味ではなくて、ETSの切除箇所で交感神経幹が上下で2分し、上側の神経(胸部のT1および頸部のC1~C6の神経)の流れが細々となっちゃう事象です。
      詳しくは リバーサル手術を受けてどこまで回復するのか? を参照です。
      細くなると、時に神経の管が折れ曲がっちゃったりして、流れが完全に途絶えたりもする箇所も起きるんじゃないかと思うのです。こういったことが、ETS手術直後じゃなくてしばらく経ってからでさえも、代償性発汗が出ることもありうる理由だと思ってます。手汗の再発も、別の箇所が途絶えることによって、その反動で手汗に向かう神経の流れが元の強さに戻るっていうことです。これは私の考えです。

      リバーサルも同じです。
      元の箇所をバイパスしても、枯れた箇所(つまり神経の折れ曲がっちゃった箇所)が無数にあり、ひとつづつひとつづつ、汗を出そうと神経が活発化した時に、その押し出す力で戻っていくと思ってます。この反動が私がパニックを引き起こしている理由だと思ってます。
      詳しくは 今日の神経の流れる感触(4/26)、リバーサルを受けてから起きているパニックについて調べたこと でまとめています。

      掲示板の方たちに向けてはこのページをガイドしておきました。
      この記述は読んでもらわないといけないと思ったからです。
      最終結果として2割か3割しか回復しないという意味ではないことに注意してください。

      フィンランドはいいところですよ。
      ムーミンもそうですしサンタクロースもフィンランドです。ヘルシンキにはムーミンショップやマリメッコのショップがあります。
      お勧めは冬に行き、帰りの飛行機で左窓席を手に入れることです。
      運が良ければオーロラが見れます。2011年4月に行ったときは左窓席取ったのですが、北極圏に入ったところでも明るくて見れませんでした。12月~3月なら可能性ありです。
      では。
      まるとん

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  2. まるとんさんおはようございます。いつも的確で丁寧な返信ありがとうございます。
    交感神経の働きは謎で、私もmriや、ctで調べられないか疑問でした。患者自身の感覚がたよりですのでデータの蓄積が大事かなと。私はets前からのパニック持ちでした。何の前触れもなくおそいかかる時もあるし、カフェインがトリガーとなる時もあります。でもコーヒー好きなんですよね。自分の考えでは血液やリンパの流れと大きく関わっている気もします。パニック発作の辛さは表面的な検査の結果ではわからないので、本人同士しか共有できません。私の場合では車、人混み、閉所等で、ets後は暑さでも、スイッチが入った途端、心臓が破裂するのではとおもうほどの動悸、暑苦しさ、目眩、そして一生分の不安や恐怖が凝縮して襲ってくる感覚。理性は働いているけど、なかなかやっぱり慣れません。
    しかし、まるとんさんいつ寝てるの、と思うくらい筆まめ、勉強家ですね。お身体が心配です。あまり無理しないでくださいね。
    返信無用。ではでは ゆっけ。

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    1. ゆっけさん
      まるとんです。

      私も神経の流れと血流も影響していると思います。血管近くに這っていて血流に乗せて神経も流れているということです。

      私はパニックはすべて交感神経の働きで、神経の流れの詰まって弱まった個所があって、そこを力強く押し出して上半身へ向かって一気に流れる現象と考えています。
      神経の流れの詰まった個所が起きるのは、持って産まれた特徴かもしれないし、ストレスや健康不良によるものかもしれないし、ETSによるものかもしれないということです。

      まず予兆ですが、引っかかった個所を通じて神経の移動する準備ができたとき、胸部の爆弾にあたる個所が熱くなったり息苦しくなったりします。息苦しくなる理由はまだよくわかっていないのですが、2つの理由を考えていてそのどちらかなんじゃないかと考えています。1つ目は血流に乗せた神経が流れなくなったせいで、血流も滞って圧迫されて心臓にまで負担がかかるから、2つ目は心臓への交感神経の流れが押されて心臓が負担がかかるから、どっちかはよくわかんないです。予兆でタイミングがわかるので、だいたいトイレに駆け込んだり、椅子に座って本番が来るのを迎えます。電車の中でどうしようもなく起きる時もあります。

      そしてパニックが起きると神経のものすごい速い流れを感じます。私のケースでは背中を通じて上半身に流れます。
      頭に流れることで視界が真っ白になったりします。胸も苦しくて座って深呼吸してるしかなくなります。
      「不安」という症状も、意思でコントロールできない頭に流れる神経の影響だと思ってます。
      ただ、私のパニックには不安はないです。うーうー言いながらこれでまた回復できるって内心喜んでました。

      今ではもうパニックは治まってます。それなりに神経がつながったおかげと考えていて、もうパニックは起きないんじゃないかと思っています。

      その代わり、漠然とした不安に襲われる日があります。具体的な原因となる精神的なトリガーはなく、神経の作用として不安に襲われます。都合がいいことに休日に起きます。それは神経の活動や緊張の程度によるからと思ってます。このときはあきらめて何もせず横になって過ごしてます。

      こっちは最近でもありました。でももう慣れっこです。

      では。
      まるとん

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    2. まるとんさん、ゆっけです。とてもわかりやすい分析ですね。血流と神経の流れの相互関係、私も同じような分析です。etsの後遺症で自分もそうですが、胸がバクバクする、とよくありますが、神経が遮断された事によって流れが滞ります。しかし、心臓は血流と共に、神経の液体?を流そう、流そうとします。この過剰な現象がets後の動悸や胸の苦しさかと。代償性発汗と同じような理屈です。リバーサル後のパニックもまるとんさんの考えと同じです。これらは交感神経の作用かと。
      で、後に書かれた漠然とした不安の方ですが、私の考えでは副交感神経の作用かと。これには根拠がありまして、私もets前はよく、とくに子供の頃、リラックスしている時になりました。まるとんさんも休日とありますね。この時の感覚はパニックとはまた違う不快感。悲しいや、心配、切ない、というような感じ?つまり、パニックは交感神経系の過剰反応。不安は副交感神経系の過剰反応。これらのバランスがうまくいってる人が正常な人なのかと。
      ではでは。ゆっけ。

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    3. ゆっけさん
      不安は副交感神経の影響というのは、言われてみるとそんな気がします。
      ちなみに季節で言えば春先や梅雨時といった季節の変わり目に起こることがあります。
      どちらもリラックスする感じですね。

      交感神経も副交感神経も構造上は自律神経という同じ機能の神経で、作用する場所が異なるために別の名前がついてますね。
      そういったことを踏まえると、ゆっけさんのおっしゃる通りかなと思いました。
      では。
      まるとん

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    4. まるとんさん。
      ふむふむ…勉強になります。
      まるとんさんの身体ももう一息なかんじですね。嬉しいです。
      またレポート出します。
      おやすみなさい。まるとん教授。
      ゆっけ

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    5. ゆっけさん
      一点言い忘れていたことがありました。
      私も神経は液体で満たされていると考えています。
      それはここで書いています。
      今日の神経の流れる感触(3/2)、そしてこれからETSを受けるつもりの人達へ
      神経は神経細胞でできていてパルスによって伝達するというのも間違ってはいないとは思うのですが、この考えは若干の矛盾がありなかなか受け入れられにくいです。
      でも私はたくさんの人にこの説明をしてきました。
      私の友人にはこういったことをいつも説明していて、特にリバーサルを受けた人は私の考えをみんな知っています。
      だから運動をしたりして、みんなで回復しましょうねって呼びかけています。
      おやすみなさい。
      では。
      まるとん

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  3. まるとんさん、この前はコメントありがとうございます。ここに書いて良いのかわかりませんが、ツカヤンです。
    私は、あの頃の記憶が曖昧でたぶんなんですが、2001年にT3T4T5遮断の右側ETS手術を受けています。
    私の代償性発汗を含む後遺症は手術後、すぐには起きず、
    徐々に現れた感じです。10年程、あまり気にならず生活で
    きていました。なので、ここで書かれている内容と一致してると思われます。

    現在は代償性発汗はもちろんの事、体温調整機能の低下、右胸の鈍痛、右手の冷えなど様々な後遺症がでてきてます。この状態を治したいですが、リバーサル手術をする決意はまだありませんが勉強はさせてもらってます。



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    1. ツカヤンさん
      まるとんです。
      コメントありがとうございます。
      活発な夏と沈静化した冬を繰り返すことで、神経が上に書いたように変化していくんじゃないかと私も考えています。
      受けた年は1か月後に突然現れだしたとかいうケースも聞くのですが、それ以降はだいたい季節が変わった時に気づくってケースが多い気がします。冬の交感神経が活発じゃないときに変化したんじゃないかってことです。
      ツカヤンさんのブログのリンクをリンク集に加えました。
      引き続きよろしくお願いいたします。
      では。
      まるとん

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