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2017年5月23日火曜日

香港で行われたビデオ・アシストでのリバーサル手術

韓国で行われたリバーサル手術のケースレポートオーストラリアで行われたリバーサル手術のケースレポートを載せましたが、その他にも香港で行われたビデオ・アシストでのリバーサル手術のケースレポートがあります。
この資料の利用の自由が確認できたので、その訳を一部載せたいと思います。
なお、訳に間違いがあったらごめんなさい。

サイト: InTechOpen
記事タイトル: Needlescopic video-assisted thoracic surgery for reversal of thoracic sympathectomy

目次
要約(Abstract)
紹介(INTRODUCTION)
ケースレポート(CASE REPORT)
討論(DISCUSSION)
結論(CONCLUSION)


胸部交感神経遮断術をリバーサルするためのビデオ・アシスト胸部手術

要約(Abstract)

胸部交感神経切除術は、手掌多汗症の治療のために、一般的に行われる外科手術となっています。しかしながら、この処置の主要な合併症に、代償性の胴体の多汗症があります。私たちは、代償性の胴体の多汗症および熱中症に至る頭と首の無汗症の、重症なケースについて記述します。胸部交感神経切除術のリバーサル手術のために、自家の肋間神経を使った針状顕微鏡でビデオ・アシストを行っての胸部再手術を両側で実施しました。患者の胴体の多汗症は、リバーサル手術後1カ月以上かけて、徐々に解決されました。


紹介(INTRODUCTION)

胸腔鏡下交感神経切除術は、とりわけ「針状顕微鏡でビデオ・アシストを行っての胸部手術(n-VATS:needlescopic video-assisted thoracic surgery)」アプローチによって行われ、手掌多汗症を治療するためににもっとも一般的に行われる機能的な手術の一つとなっています。しかしながら、代償性の胴体の発汗に至る正確なメカニズムは、依然として分かっていません。私たちは、n-VATSで、採取した自家肋間神経でT2-4レベルの胸部交感神経幹を両側ともリバーサルすることに成功し、その後胴体の多汗症を改善した患者を記述します。


ケースレポート(CASE REPORT)

長年手掌多汗症を患っていた42歳の消防士は、2003年2月に両側3ポートでのn-VATS交感神経切除術を受け、交感神経幹のT2-4レベルを切除しました。彼の手掌多汗症は手術後即座に解決しましたが、彼はすぐに頭と首の領域での無汗症および日々の生活を著しく阻害する重度の胴体の多汗症を発症しました。彼は、24℃の室温で通常の日常生活を行う時でさえも、胴体の汗で服を絶えずずぶぬれになることを訴えました。それは手術前の手汗によって引き起こされる以上の社会的な心理負担を引き起こしました。オキシブチニンを2週間分処方しましたが、有意な改善はありませんでした。最初の手術の6か月後に、彼は屋外任務の5km近くのランニングをする間に熱中症を起こしたというエピソードがありました。その日の気温は30~32℃で、湿度は75~85%でした。当時、彼は頭と首の部分の熱がこもって足の筋肉がけいれんする感じがあり、意識がもうろうすると訴えました。彼は病院に運ばれ、体温が40℃になっていることが分かるとショックを受けました。彼の説明は、シホー(Sihoe)とそのチームが交感神経切除術後に熱中症を起こした患者について以前にレポートした内容と、同様のものでした。彼はその後、流体と電気での蘇生法を行い、十分なケアで治療されました。

患者との徹底的な話し合いの後、交感神経切除術のリバーサルをv-VATSアプローチによって行いました。私たちのn-VATS手術の設定についてはすでに記載した通りです。全身麻酔、二重管腔挿管、および片肺状態で、前回の3mmポート手術部位は5mmに広げられました。前胸部のポート部位は、大胸筋の側面境界1cm横の第4肋間腔に配置されました。カメラポートは、中腋窩線の第7肋間腔に配置され、後部ポートは第4肋間腔の後腋窩線に配置されました。5mmの内視鏡グリップ鉗子とジアテルミー・シザーを前方ポートおよび後方ポートに通し、以前に切除された交感神経幹の上に位置する壁側胸膜を特定し、交感神経幹の尾部および頭部の自由端を露出させるためにそれを切断しました。交感神経幹の自由端のそれぞれを1~2mm切り取りました(図1 aおよびb)。第4肋間神経を覆う壁側胸膜をジアテルミー・フックを使って切開しました。第4肋間神経を約7~8cmのセグメントで採取し、フリー移植片としました(図1c)。それを交感神経幹の2つの自由端を結合するために配置し、その場所はその後フィブリンシーラントで固定されました(図1d)。すべての神経端は、熱傷をさけるため、焼灼をしないはさみでの切り取りを行いました。この手術を反対側面でも繰り返しました。患者は平穏無事な回復を示し、手術の3日後に自宅へ退院しました。リバーサル手術の後1カ月で、彼の胴体の多汗症は主観スコアで10段階中9から4に改善されました。また、手汗、前腕、胸壁から肩のレベルの後方部、それと額に発汗が現れましたが、多汗症の程度ではありませんでした。彼は手術の3カ月後には問題なく日中30~33℃の屋外で10キロを走れるようになり、消防署が要求する身体検査に合格しました。軽度の胸壁の痛みが治まった後、彼はリバーサル手術後4カ月で消防士として勤務を再開することができました。
図1
(a)第2胸部交感神経幹の切り取られた終端(白矢印)
(b)第4胸部交感神経幹の切り取られた終端(白矢印)
(c)5mmの器具で第4肋間神経を内視鏡グリップ鉗子で持ち上げ、ジアテルミー・フックが周辺の付着物を取り除きます。
白矢印は第4肋間神経を示しています。
(d)フリー移植片は第2および第4交感神経幹の切り取られた両端を接続するために配置され、フィブリンシーラントで固定されました。


討論(DISCUSSION)

手のひらの多汗症は、重大な心理負担、機能障害、および社会的ハンディキャップを引き起こす可能性があります。n-VATSによる交感神経切除術は、手掌多汗症でもっとも一般的に行われる手術の1つであり、この手術を受けた患者の95%以上が症状の改善を報告しています。しかし、胸部交感神経切除術は、代償性の胴体の多汗症、味覚性発汗、肋間神経痛、そしてホルネル症候群を含む望まれない結果となる可能性があります。これらのうち、手術後にもっとも頻繁に訴える症状としては代償性の胴体の発汗を報告する人がおり、程度はさまざまですが35~89%にも及んでいます。手掌多汗症以上の障害となる可能性があり、手術に関する患者のQOLや満足度を大きく悪くすることもあり得ます。ロドリゲス(Rodríguez)とそのチームは、重度の代償性発汗のために、手術を受けた6%の患者が後悔していると報告しました。私たちが報告したケースでは、患者は重度の代償性の胴体の多汗症を持っていたが、熱中症を引き起こして仕事ができなくなり、交感神経切除術を受けたことを後悔した、消防士になります。

胸部交感神経をクリップで止める技法は代償性の胴体の多汗症が起きた際にリバーサルできる可能性を秘めているけれども、胸部外科医協会の最近のコンセンサスの取れた声明は「クリップ技法は、それを除去した後、回復できない恐れのある不可逆的なものであると考えるべきである」ということを推奨しています。

体細胞-体細胞の神経移植は末梢神経障害のために長く認識された治療法です。しかしながら、体細胞-自律神経伝達のためにはあまり一般的ではありません。臨床応用として報告されたものは数少ないが、そのうちの1つに脊髄損傷後の神経嚢の治療があります。それは、末端組織の機能を再生するために、自立遠心神経を有した体細胞神経移植片を吻合することによって、人口体細胞-中枢神経系-自律反射の連携を確立することを含んでいました。

2009年に、ハーム(Haam)とそのチームは、19人の患者に行われた肋間神経移植片を用いた交感神経切除術のVATSリバーサルに関するケースシリーズを報告しました。彼らの研究では、9人の患者が代償性発汗の改善を経験し、そのうちの3人は著しく症状が改善されました。私たちが行うn-VATSアプローチは、今回の患者で実証されたのと同様の結果が達成可能であると信じています。

私たちが報告したこのケースでは、第4肋間神経の一部をフリー移植片として採取し、フィブリン糊でそれを固定しました。フィブリン糊が、シュワン細胞の侵入を促進することで、末梢神経再生の初期段階において重要であるということを示唆する証拠が増えています。フィブリン糊の使用に関する役割を調査するさらなる研究は、基礎生理学を解明するためにも、必要となっています。


結論(CONCLUSION)

n-VATSアプローチでの肋間神経移植片を使った交感神経切除術のリバーサルは、技術的に可能であり、代償性の胴体の多汗症の症状を改善させる可能性があります。しかしながら、さらなる臨床研究や機能生理学的研究が、根底にあるメカニズムを解明するためにも、必要となっています。

訳:まるとん

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※リバーサル手術のケースレポート
韓国で行われたリバーサル手術(19例)
オーストラリアで行われたメルボルン技術によるリバーサル手術(2例)
香港で行われたビデオ・アシストによるリバーサル手術(1例)・・・このページ

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