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2017年5月18日木曜日

韓国で行われたリバーサル手術の研究レポート

以前リバーサル手術を行っている所のページでも書いたことがあるのですが、韓国で行われたリバーサル手術の研究レポートがあります。
この資料の利用の自由が確認できたので、その訳を一部載せたいと思います。
なお、訳に間違いがあったらごめんなさい。
フィンランドと完全に同じようにつなげているかどうかとかはわからないです。つなげ先のところとかですね。でも、肋間神経を使って移植するイメージとかは理解できるんじゃないかと思います。

サイト: InTechOpen
記事タイトル: Sympathetic Nerve Reconstruction for Compensatory Hyperhidrosis after Sympathetic Surgery for Primary Hyperhidrosis

目次
要約(Abstract)
紹介(INTRODUCTION)
材料および手法(MATERIALS AND METHODS)
結果(RESULTS)
討論(DISCUSSION)


原発性多汗症の交感神経手術におけるその後の代償性発汗のための交感神経再建手術

要約(Abstract)

私たちは原発性多汗症の交感神経手術におけるその後の重度の代償性発汗患者に対し、肋間神経を用いた交感神経再建手術を行い、その手術成績を分析しました。2004年2月から2007年8月まで、肋間神経を使った交感神経再建手術を19人の患者に行いました。対象患者は原発性多汗症の胸腔鏡下交感神経手術後に重度の代償性発汗を示していました。交感神経の再建は、重度の胸膜癒着だった1患者を除き、胸腔鏡手術によって行われました。初回の交感神経手術と交感神経再建手術の間隔の中央値は47.2カ月(範囲は3.5カ月から110.7カ月まで)でした。再建手術後の代償性発汗の改善は9人の患者で見られ、そのうちの3人は著しい症状の改善が見られました。肋間神経を用いた交感神経再建手術は、原発性多汗症の交感神経手術におけるその後の重度の代償性発汗のための、有用な手術選択肢の一つとなりえるだろう。


紹介(INTRODUCTION)

原発性多汗症は顔、手のひら、わきの下で過剰な汗が出るという特徴のもので、人口の0.6~3%で起きるありふれた疾患です。ククス(Kux)が胸腔鏡下交感神経手術を行って以来、過去数十年の間、顔、手のひら、わきの下の多汗症の外科的な手術選択肢として一般的なものとなっています。胸腔鏡下交感神経手術は多汗症の恒久的な改善を提供するけれども、しばしば代償性発汗と呼ばれる重症の複雑な事態が付随して発生します。代償性発汗を減らすため、胸腔鏡下交感神経手術は交感神経の切除範囲を減らす試みがされてきましたが、そういった手法では代償性発汗の発生を著しく減らすことはできませんでした。私たちは胸腔鏡下交感神経手術後に重症の代償性発汗を持つようになった19人の患者に対して肋間神経を使った交感神経再建手術を行い、その手法の結果を評価しました。



材料および手法(MATERIALS AND METHODS)

2004年2月から2007年8月までに、私たちは184人の原発性多汗症患者に胸腔鏡下交感神経手術を行いました。これらの患者のうち、重度の代償性発汗となった19人の患者に対して肋間神経を用いた交感神経の再建手術を行いました。14人の患者が男性で、5人が女性でした。年齢の中央値は28歳で、範囲は19歳から61歳まででした。2人の患者はフォローアップ期間中に失われました。この研究は私たちの病院の施設審査委員会によって承認されました。

再建手術の全過程は、全身麻酔の下、単一の内腔器官内チューブを用いて行われました。患者は腕を伸ばして行うセミファウラー位で行いました。重度の胸膜癒着だった1患者を除く18人の患者で胸腔鏡手術が可能でした。左側から始め、前回の胸腔鏡手術痕に沿って2つの別個の皮膚切開をし、胸腔鏡ポートを設置しました。肺を収縮させるために10mmHg未満の圧力でCO2ガスを胸腔内に送り込んだ後、5mmの胸腔鏡で胸腔内を検査しました。ほとんどの患者は以前の交感神経手術部位周辺に最小限ながらも胸膜の癒着を有していました。肋間の神経血管束を5~7cmの長さで解剖し、遠位末端部を切除しました。前回手術した交感神経の近位および遠位部を露出させた後、「露出させた交感神経の近位部および遠位部の神経の覆い」と「摘出した肋間神経の終端」を電気外科チップクリーナー(electro-surgical tip cleaner:Surgisite®, Ethicon, Gargrave, Skipton, UK)で除去しました。「肋間神経の終端」を、「露出させた交感神経の近位部と遠位部の間」に配置し、そしてフィブリン糊(フィブリンはタンパク質の一種)を交感神経と肋間神経の接地面に適用しました(図1)。同様の過程を右側でも繰り返しました。交感神経クリップを使った遮断の場合では、この過程をクリップを取り除いた後で行いました。重度の胸膜癒着だった1人の患者においては、交感神経の再建は胸腔鏡下切開術で行いました。すべての患者は外科的な合併症を起こすことなく退院しました。
図1
(A)術部のイラスト。
(B)吻合(ふんごう)部の拡大図 - 「肋間神経の遠位部(a)」は、
 交感神経と肋間神経とを結合させるため、「 露出させた交感神経の 
遠位末端および近位末端の間(b)」に配置しました。
私たちは、肋間神経を用いた交感神経再建術を受けた全患者の臨床チャートをレビューしました。患者たちに対し、手術効果および術後合併症についての電話アンケートを行いました。代償性発汗の改善の指標は、「Definite:明確な改善」、「Mild:軽度の改善」、または「Absent:改善なし」で評価されました。「Definite」は患者が再建手術後に十分に満足したと感じ、「Mild」はある程度満足し、「Absent」は患者が改善を感じなかったことを意味しています。交感神経再建術とアンケートの間の平均間隔は22カ月(範囲は1カ月~45カ月)でした。

1人の患者(表1における患者番号17番)においては、手術前、手術後にデジタル赤外線サーモグラフィー画像を撮りました。
患者の特徴と手術結果

結果(RESULTS)

原発性多汗症患者は、顔が9人、手のひらが8人、わきの下が1人で構成され、1人は顔と手のひらの多汗症の両方を持っていました。表1は交感神経再建術の患者の特徴と結果を示しています。最初の原発性多汗症交感神経手術の内訳は、5人がT3切除、8人がT2切除、1人がT2,3切除、1人がT2,3,4切除、2人がT2クリップ術、1人がT3クリップ術、そして1人がT2クリップ+T3切除となっていました。すべての患者は胸腔鏡アプローチで手術を行いました。

胸部と背部が代償性発汗の最も一般的な部位でした。最初の原発性多汗症の胸腔鏡下交感神経手術と交感神経再建手術の間隔の中央値は47カ月(範囲は4カ月から111カ月まで)でした。15人の患者の交感神経再建術においてはR3肋間神経を用い、2人にはR4肋間神経を用い、1人にはR2肋間神経を用い、1人にはR3とR5の肋間神経を用いました。

3人の患者は再建術の効果が「Definite」と答え、6人は「Mild」、8人が「Absent」と回答しました。術後の合併症は、2人の患者が胸部のしびれ、2人が胸部の痛み、そして1人については3カ月後に自然に治癒したが一時的な眼瞼下垂がありました。

1人の患者で行った手術前と手術後のデジタル赤外線サーモグラフィー画像では、胸部と背部の温度の変化を示しました。術後の胴体温度は術前の温度よりも高くなっていました。
図2
(A)および(B)は交感神経再建術前と術後3カ月に取得した赤外線
サーモグラフィー映像です。胸部において明らかな熱変化が見られます。

討論(DISCUSSION)

ククス(Kux)が胸腔鏡下交感神経手術を提唱して以来、胸腔鏡や特殊器具の近年の発達で手術はより容易になりました。そして、高い改善率、短期間での入院、美容上の優れた結果のため、多汗症のための選択肢として扱われるようになりました。それには多くの利点がありますが、胸腔鏡下交感神経手術の後、最も一般的で耐え難い代償性発汗に苦しむ患者もいます。以前の報告によれば、代償性発汗は交感神経手術後の患者の59.8~90%で発生します。代償性発汗のメカニズムは明らかになっていませんが、体温調節機能の代償と関連していると思われます。代償性発汗の発生率およびその程度は交感神経連鎖の切除範囲に関連しているように見えるため、臨床医の中には切除範囲を限定的にすべきであると提唱するものもいます。これらの理由から、異なるレベルの交感神経遮断術や交通枝切断術やクリップ術-これらの手法の効果についていは論争が残っているが-といった多数の治療法が切除範囲を減少させるために試みられてきました。軽度の代償症状では、アルミニウム系の化合物、イオントフォレーシス、および全身または局所用の抗コリン薬といった発汗抑制法で効果を得られることがあります。しかしながら、もし症状が深刻ならば、それを管理するのはより難しく、満足いく結果を得ることができないのです。

フィリッポー(Philipeaux)とヴァルピアン(Vulpian)が1870年に最初の神経移植実験を報告して以来、数多くの神経移植の成功事例が整形外科手術分野で報告されました。胸部手術の分野では、ショーラー(Schoeller)のチームが、縦隔腫瘍を切除した患者に対し、腓腹神経(ひふくしんけい:ふくらはぎの神経)を用いた横隔神経再建術を成功したと報告しました。テラランタ(Telaranta)は、腓腹神経を使った交感神経連鎖の再構成によって、手掌多汗症のために交感神経切除術を受けた男性患者の代償性発汗を軽減させたと報告しました。三浦のチームは、腫瘍による交感神経の切除後に、肋間神経を用いた交感神経再建術が有用であると報告しました。

腓腹神経は神経移植にもっともよく使われる神経ですが、肋間神経は腓腹神経に対していくつかの利点を持っています。第1に、肋間神経は腓腹神経よりも交感神経線維を多く持っており、これゆえに肋間神経は交感神経再建術により適しています。第2に、腓腹神経は切り出したフリー移植片としてのみ利用できますが、肋間神経はペディクル移植片として使用しそして神経血管束として摘出することができます。したがって、移植片に十分な血液供給を維持することができます。第3に、肋間神経を胸腔鏡によって採取することができます。したがって追加の切開を必要とせず、ドナー部位の罹患率が減少します。私たちの経験によれば、重度の胸膜癒着だった1人の患者を除くすべての患者において胸腔鏡での肋間神経採取を行うことができ、肋間神経が交感神経再建術のための有用な移植片であることを私たちは確信しました。

神経吻合には神経鞘縫合糸や束状縫合糸が最もよく使われますが、神経の縫合材料に起因する異物反応という別の問題を引き起こす可能性があります。縫合技術を使わず、フィブリンシーラントを使用した神経吻合の成功報告もあります。交感神経再建手術で顕微鏡での縫合技術を行う場合、必然的に開胸術を必要とします。それ故に、私たちは神経吻合のためにフィブリンシーラントを使用しました。この過程で行われる吻合タイプは端側神経縫合術を改良したものです。

神経は一般的に元の方向に向けて吻合されるのですが、フリー移植片はこの手術において元の方向に向けて吻合するように準備されるべきです。逆方向の吻合は神経伝導に影響を及ぼさないといったことを明らかにした報告もあります。

交感神経再建術の効果についてのアンケートでは、9人の患者が「Definite」あるいは「Mild」と回答しました。結果が「Definite」だったと回答した3人の患者において、代償性発汗が減少し、胸腔鏡下交感神経手術後の無汗となった障害領域も改善しました。軽度の改善(Mild)と回答した患者は、発汗の量と頻度が減少したけれども、依然として不快な代償性発汗を訴えました。しかしながら、8人の患者においては、交感神経再建術は何の効果も示しませんでした。これらの再建手術の結果は、本研究での症例数が少ないこともあり、年齢、性別、障害領域、胸腔鏡下交感神経術からの期間といったパラメータでの違いは見られませんでした。

デジタル赤外線サーモグラフィー映像は​​、体温分布の評価を行うのに有用なツールとなっています。この映像では、発汗領域は他の領域よりも低い温度を示します。交感神経再建の前と後で、私たちはT3交感神経切除後に胸部の代償性発汗を訴えた22歳男性のデジタル赤外線サーモグラフィー映像を行いました。再建手術後に胴体温度は上昇しており、この結果は患者の症状と一致しました。

患者の数がデータ解析には不十分でありますが、再建手術の結果は交感神経手術と再建手術のインターバル期間とは一致しませんでした。交感神経再建術の正確な効果を評価するためには、より多くの症例とより長い期間での術後経過観察が必要です。

再建手術の術後合併症は5人の患者に見られました。2人の患者においては耐えられる程度ではあるものの胸壁の痛み、2人の患者では胸壁の痺れとなっています。1人の患者は眼瞼下垂を訴えましたが、3カ月後に自然解消しました。

質問票は交感神経手術後の手術結果を評価するために使用されています。しかしながら、質問票は客観的なものではないという制約があります。さらに、代償性発汗は気候や季節によっても異なるため、アンケート調査のタイミングは重要です。今回の調査において、アンケートは韓国では比較的涼しくて乾燥する10月に行いました。これはこの研究のもう一つの制限となっています。

結論として、私たちの結果は、肋間神経を用いた交感神経の再建が重症の代償性発汗患者に対する有用な外科的手法の一つとなり得ることを示唆しています。患者の半数が結果に満足しました。再建手術は、重症の代償性発汗を持つ患者を高度に選択し、非常に注意深く決定されなければならない。

訳:まるとん

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※このページを書いてみてそれについてまとめたのがこちらになります。
「韓国で行われたリバーサル手術の研究レポート」を訳して感じたことや気づいたこと

※リバーサル手術のケースレポート
韓国で行われたリバーサル手術(19例)・・・このページ
オーストラリアで行われたメルボルン技術によるリバーサル手術(2例)
香港で行われたビデオ・アシストによるリバーサル手術(1例)

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