2018年5月7日月曜日

多汗症治療薬DRM04について



これについてもう少し調べてみました。


DRM04とは
Dermira(ダーミラ)社が開発している多汗症治療薬の開発コード。

DRM04 is formulated as a topical, once-daily anticholinergic agent that is currently in clinical development for the treatment of primary axillary hyperhidrosis. DRM04 is designed to block sweat production by inhibiting the interaction between acetylcholine and the cholinergic receptors responsible for sweat gland activation.

→ DRM04は局所かつ1日1回投与の抗コリン作用薬として処方されるものであり、現在原発性腋窩多汗症のために臨床開発中です。DRM04は、アセチルコリンと汗腺の活性化に関与するコリン作動性受容体との相互作用を阻害することによって、汗の産生を遮断するように設計されています。

補足:
アセチルコリンは神経伝達物質。


Glycopyrronium tosylate is an anticholinergic agent formulation for once-daily, topical administration that has completed Phase 3 clinical testing for the treatment of primary axillary hyperhidrosis (excessive underarm sweating).

→グリコピロニウム・トシレートは、1日1回、局所投与用の抗コリン作用薬製剤であり、原発性腋窩多汗症(過度の腋下発汗)の治療のための第3フェーズのテストを完了した。


In November 2017, Dermira announced that the U.S. Food and Drug Administration (FDA) accepted its New Drug Application (NDA) for glycopyrronium tosylate (formerly DRM04). The FDA indicated that its filing review was complete and that the NDA for glycopyrronium tosylate is sufficiently complete to permit a substantive review. The Prescription Drug User Fee Act target date for the completion of the FDA’s review of the NDA is June 30, 2018.

→2017年11月、Dermiraは米国食品医薬品局(FDA)がグリコピロニウム・トシレート(旧称DRM04)の新薬申請(NDA)を承認したと発表しました。FDAは、その出願審査が完了し、グリコピロニウム・トシレートのNDAが実質的な審査を可能にするために十分に完了していることを示しました。FDAによるNDA審査完了のための処方せん薬ユーザーフィー法のターゲット日は2018年6月30日です。

この薬の成分はグリコピロニウム・トシレート(トシル酸塩)と説明されています。


グリコニウムとは
グリコニウムについては Wikipedia にこう書かれています。

  • グリコピロニウムは、ムスカリン受容体を阻害して、アセチルコリンの作用を遮断する。
  • 多汗症の治療に、局所または経口投与で用いられる。
  • 重大な副作用として添付文書に記載されているものは心房細動である。発汗機能を抑制するので高温の環境では発熱および熱射病を起こす危険がある。他にも、ドライマウス、排尿困難、頭痛、下痢、便秘の副作用がある。内服時にアルコールを摂取すると傾眠、霧視が惹起されることがある。

既に多汗症に対する効果があることは知られているみたいです。
神経伝達物質(アセチルコリン)の作用を止める(抗コリン作用)ということで、プロ・バンサインと同じみたいです。


グリコピロニウムを現在入手することはできるのか?
aSBo というサイトにこのように書かれています。

  • グリコピロニウムという喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療に使われる抗コリン薬を多汗症の治療に使用したところ、副作用が小さく大きな効果をあげたとの研究もあるようです。
  • これらは、まだ日本では健康保険の適用外です。しかし効果が認められれば、将来多汗症の 標準的な治療法として利用できる日も近いかもしれません。

多汗症治療ガイド というサイトにも同じことが書かれています。

  • 多汗症の治療薬として認可されている神経遮断薬はプロ・バンサインのみです


まとめ

  • アメリカで多汗症の新薬の研究が行われている。既に臨床試験を終え、新薬承認審査中。
  • マルホ株式会社は既にその新薬販売の契約を締結している。
  • アメリカで申請が通れば日本でも保険適用される可能性があり、そうなるとプロ・バンサインに変わる薬となるかもしれない。

新しい情報が入ったら、アップデートします。


参考URL
多汗症治療薬 DRM04 に関するライセンス契約締結のお知らせ(マルホ株式会社)
Dermira Data from DRM04 and Olumacostat Glasaretil Clinical Programs to Be Presented at American Academy of Dermatology Annual Meeting(Dermira社)
Glycopyrronium Tosylate (formerly DRM04)(Dermira社)
グリコピロニウム(Wikipedia)
多汗症?それとも汗かき?(aSBo)
薬物療法(神経遮断薬)(多汗症治療ガイド)

16 件のコメント:

  1. 早速追加情報です。
    Dermira Reports First Quarter 2018 Financial Results and Provides Corporate Update
    ・2018.5.3のニュース記事
    ・Dermira社の今後の重要なマイルストーンにこのように書かれています。
    →米国食品医薬品局(FDA)の認可を受けた場合、2018年後半に腋窩多汗症の治療のためにグリコピロニウム・トシレートを市場にリリースする。

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  2. 科研製薬が似たような多汗症治療薬の治験を行なっているようです。

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    1. 本当ですね。
      Brickell Biotech社との共同開発で、BBI-4000 という名称で、現在開発フェーズ3ということのようですね。(こちら を参照)
      こちらの状況についてもウォッチしておきたいと思います。

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    2. 科研製薬が開発している治療薬「BBI-4000」ですが、19年度中の申請を行う方針を明らかにした、とのことです。

      科研 19年度第2四半期は減収増益 後発品参入のリピディル減収の影響大きく
      https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=68304

      この記事だけでは何を申請するのか、スムーズに行ったとして販売がいつ頃になるのか、が見えないのですが、いずれにせよ、開発は進んでいるんだなっていうことは分かりました。

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    3. 科研製薬が開発している多汗症治療薬BBI-4000なのですが、科研製薬のサイトには「Brickell Biotech社より導入」と書かれていました。
      新製品開発状況(科研製薬)

      共同研究と扱われていたので、ちょっと気になったので確認したところ、下記に詳しい経緯が書かれてました。
      原発性局所多汗症治療剤「BBI-4000」におけるライセンス実施許諾および共同開発契約締結に関するお知らせ

      そしてこの薬のアメリカでの開発状況は下記に書かれています。
      SOFPIRONIUM BROMIDE - Brickell Biotech
      Based upon these positive Phase 2b results, we initiated the Phase 3 Long-Term Safety Study for sofpironium bromide gel in September 2018 (the “Argyle Study”) and intend to commence the Pivotal Phase 3 program in the fourth quarter of 2019.
      → フェーズ2bが肯定的な結果だったことにより、2018年9月にフェーズ3の長期安全性研究を開始しました。そして2019年第4四半期には第3相臨床試験を開始する計画となっています。

      アメリカの開発状況が現在Phase 3の試験であることを考えれば、科研製薬の上の「申請」は同様にPhase 3の試験に対する申請の可能性もありそうです。

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  3. 情報ありがとうございます。
    これからの発展に期待してます。
    試せる物は試したいですね。

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  4. >既に多汗症に対する効果があることは知られているみたいです。
    神経伝達物質(アセチルコリン)の作用を止める(抗コリン作用)ということで、プロ・バンサインと同じみたいです。
     以前(リバーサル手術直後など)プロバンサインが個人的になぜ服用できなかったかというとこの「抗コリン作用」による副作用(頭痛、頭の回転が鈍る感じ。言語能力が劣る感じ。平衡感覚のずれや様々な副作用)があったからです。副作用は少ないとは言え、「抗コリン作用」の薬である以上、あまり期待はできないろ思います。効果だけなら「プロバンサイン」で十分ですよ。ただし1錠ではあまり効き目はありません。最低2錠です。抗コリン作用剤以外でないとあまり期待できないと思います。

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  5. まるとんさん、はじめまして。多汗症に関する最新の治療法を調べていたところ、まるとんさんのブログともうひとつの記事を見つけました。どれも飲み薬ではなく、局所的に働きかけるもの(塗り薬、もしくは湿布薬?)のようです。

    https://teasenote.com/c/9cu1d7gt

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    1. コメントありがとうございます。
      付けてくださったリンクも拝見しました。非常に良くまとまっていて、私の記事よりも数段役に立つ情報で、素晴らしいです。
      塗り薬とか湿布とかの局所薬で効果があれば、私の理想にかなっています。
      これらの新薬にいっそう期待するようになりました。
      もし新しい情報が手に入ったらアップデートしますが、何か分かったら教えてくださったらうれしいです。
      引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

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  6. DRM04ですが、既にFDAの認可が降り、現在はQBREXZAという名称となっています。
    https://www.qbrexza.com

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  7. 久光 原発性局所多汗症用貼付剤HP-5070のP2開始 20年度中にP3へ
    https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/65498/Default.aspx

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  8. 久光製薬が現在開発中の経皮吸収型の原発性局所多汗症治療剤 HP-5070 について、現在治験募集してるらしいとtwitterで書かれていました。
    https://twitter.com/unKyiJjZCiYO1Zx/status/1068035205707911168

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  9. 久光製薬の新薬(開発コード:HP-5070)のPhase 2の臨床試験結果のプレスリリースが出ました。
    http://www.hisamitsu.co.jp/company/pdf/news_release_190524-3.pdf
    試験は無事終了し、20年度にPhase 3の臨床試験を目指すそうです。

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  10. 多汗症新薬Qbrexza(開発コードDRM04)の紹介動画。
    https://www.youtube.com/watch?v=9u_5SyDz5FE

    3:30あたりから出てくるのが実物っぽいです。

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    1. Twitterでも同じこと伝えた所、追加情報をいくつかもらえたのでリンク載せときます。
      https://twitter.com/marumarutonton/status/1137403079366590464
      ・FDAに認可されたのは脇の多汗症のみ。
      ・アメリカでは処方箋が必要な薬となっている。
      ・他の部位への効果はあるだろうと伝えているが、臨床については将来行う可能性があるといった具合に可能性を述べるだけに留まっている。

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  11. 情報が増えてきたので、今後は コメント広場 に記載していきます。

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