2017年11月12日日曜日

手掌多汗症のETS手術切除部位はどこが正しいのか?

私はETS手術に反対派ですが、まずは中立の立場になって、この話題を整理してみたいと思います。

医学的な公式資料の見解
学術的な資料をピックアップしてみます。

T2は代償性発汗が特に激しく出ることが分かっており、今では決して切除してはいけないと考えられています。
その上で見てみると、一部の資料ではT4を切除することを推奨しているものもありますが、他のほとんどの資料はT3のみ切除を推奨しており、近年の研究ではT3のみの切除と考えるのが良いようです。

※注意※
T3のみの切除でも代償性発汗や気力が落ちるなどの副作用を持ちリバーサルを受けた人もたくさん知っています。繰り返しますが、ETS手術を勧めているわけではないです。私が言いたいのは手汗を減らすためのETS切除部位は世界的な研究ではT3のみの切除と考えられているようだということだけです。


ETS手術を行っている医院の切除部位
ホームページで切除部位を公開しているものをピックアップしてみます。
切除部位をサイトで公開している病院の範囲では、T3のみ切除を行っている病院は1件しか見つかりませんでした。ちなみに複数箇所を切れば切るほど代償性発汗は増えるということが書かれている資料もあります(※こちらを参照)。また、T4切除で手汗が十分に止まらず、再手術でT3を切除した人も知ってます。一旦切ってしまえば元に戻せないわけで、それらを本当に考慮している病院はほとんど見つからなかったということです。

※注意※
ETS手術をしている病院は他にもたくさんあります。あくまで切除部位を公開しているサイトのみ扱ってます。その上で、でしかないですが、T3のみ切除をしている病院はほとんど見つからなかったということです。


共通認識のない無法地帯
私が言いたいのはここなのです。
どの病院も自分のやり方が正しいと自信をもってアピールしているんだと思いますが、共通認識が全く無いのです。
そして、世界的に標準となっている(であろう)T3のみの切除をしている病院も、Webで探した限り1件しか見つかりませんでした。

言えることは、この手術は十分に解明されていない、つまり、よく分かっていない手術だということです。


結論
そもそも私はETS手術に反対です。せめて手首あたりで交感神経を弱めることができるならまだわかりますが、胸の中の交感神経幹を切ってしまうのはあまりにももったいないと考えているからです。

その上で、ETS手術ではどこを切るかというのは明確に決められておらず、切る場所は医師独自の見解に左右されています。医師は患者の獲得を目的としていて、最小限の影響とはかけ離れていると考えてもいいようです。

こういったアプローチから見ても、後遺症がきちんと管理されていないのもよく分かります。なぜなら医師は自身のやり方が一番優れていると考え競争しているからです。
年々ひどくなる代償性発汗、のぼせる頭、気力の喪失、冷たい手、疲れやすさ、重たい頭、食欲の減衰、頻尿などなど、また片側遮断をすれば半分だけ過剰に汗をかくことがどれだけ苦痛か、そういったたくさんの副作用があるのにも関わらず、それを医師は認めなかったり過小評価するのもうなずけます。満足度は実際に比べてかなり高い数値がアピールされてると思ってます。

ちょっとタイトルと結論がそれちゃいました。
でも、これが、ETS手術の現状だと思っています。

では。

まるとん

追記①:
補足です。
※おだクリニックについては コチラ を参照。
※山本クリニックについては コチラ を参照。
※四谷メディカルキューブについては コチラ を参照。

追記②:
Lin-Telaranta 分類で「手汗のためにT4のみを治療すること」が不適切だったことは以下の記事に詳しい説明があります。
T3 Sympathectomy (ETS) - T3 Blockade (ESB)
Around the millennium shift, Prof. Lin (Taipeh) discovered that a T4 approach had the same success rate on palmar hyperhidrosis as T2 surgery, but did produce almost no compensatory sweating. When we however tried to reproduce his method, it did not deliver the same results. We found out that eliminating the T4 ganglion did have some effect, but in many cases not a sufficient one, and sometimes the outcome was assymmetrical. Further investigations showed that the reason for this discrepancy was the fact, that blocking the sympathetic chain at the level of the 4th rib (applying clips above and below), in reality did in most cases squeeze the T3 ganglion, but left the T4 ganglion unharmed.
説明はこうです。
・Lin の手法を誰も再現することができなかった。それどころか結果は不十分で非対称になることもあった。
・彼の手法は T4 の上下をクリップで留めるというものだったが、実際にはT3神経節を圧迫するもので、T4神経節は無傷のままでああることが示された。

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