自律神経失調症は日本語のウィキペディアにも記載がありますし(日本語版へのリンクはこちら)、ネットでたくさんの記述が見つかります。なので、特別見る価値のないかもしれないですが、それでも関心があるので作ってみました。
Wikipedia の規則上、英語の文章を翻訳したものは GNU Free Documentation License の範囲で自由に公開することもできるドキュメントになるということです。その代わり、この文章の著作権は引き続き Wikipedia が持っていることになります。
以下は 2013.11.8 時点の文章を私なりに噛み砕いて訳したものとなります。
自律神経失調症(Dysautonomia)
自律神経失調症(あるいは自律神経障害)は、自律神経系(ANS)のあらゆる疾患または不調のことを言います。自律神経系は、例えば心拍数、血圧、消化器官が消化物を送り出すためのぜん動運動、そしてとりわけ汗といった身体の多数の機能を制御しています。
※英語で "Dysautonomia (or autonomic dysfunction)" と書かれていた部分、もしも直訳するならばどちらの単語も自律神経障害となります。 今回私は自律神経失調症のことを記載するのを目的としていますので、あえて自律神経失調症(あるいは自律神経障害)という形で訳すことにしました。以降は自律神経障害を使うことにします。
次に述べる多数の状況は自律神経障害によるものです。姿勢起立性頻脈症候群(POTS)、不適切洞性頻脈(IST)、血管迷走神経性失神、純粋自律神経障害、神経心臓性失神(NCS)、神経調節性低血圧(NMH)、起立性低血圧、起立性高血圧、自律神経不安定、そして中枢性塩類喪失症候群といったよく知られていない多数の疾患。神経系に影響をおよぼすのに多数の条件がありますが、糖尿病、多系統萎縮症(シャイ·ドレーガー症候群)、ギラン·バレー症候群、ライム病、エーラス・ダンロス症候群など、他の疾患の結果としても自律神経障害が起きることもあります。
姿勢起立性頻脈(ひんみゃく)症候群(POTS)・・・体位性頻脈症候群とも。立ちくらみやめまい頭痛だるさとともに心拍数が増加する。(頻脈とは心拍数が増加している状態をいう。)
不適切洞性(とうせい)頻脈(IST)・・・洞性頻脈というのは頻脈と同じで心拍数が増加していることをいい、運動、緊張、興奮、痛みといったときにも起こる。特にそういったこともなく洞性頻脈が起きる場合、不適切洞性頻脈という。
血管迷走神経性失神・・・脳の血流量が減少することによって失神する。神経調節性失神とも。
純粋自律神経障害・・・純粋自律神経失調症、純粋自律神経機能不全症など。自律神経障害のタイプ。糖尿病や脊髄損傷といった二次性の自律神経障害や、アルコールや利尿剤、抗うつ薬などの薬剤性の自律神経障害などと比較して、純粋という用語が使われているということだと思います。
神経心臓性失神・・・神経調節性低血圧症(神経調節性失神)と同義。一般に脳貧血。神経の反射作用により生じる。
不適切洞性(とうせい)頻脈(IST)・・・洞性頻脈というのは頻脈と同じで心拍数が増加していることをいい、運動、緊張、興奮、痛みといったときにも起こる。特にそういったこともなく洞性頻脈が起きる場合、不適切洞性頻脈という。
血管迷走神経性失神・・・脳の血流量が減少することによって失神する。神経調節性失神とも。
純粋自律神経障害・・・純粋自律神経失調症、純粋自律神経機能不全症など。自律神経障害のタイプ。糖尿病や脊髄損傷といった二次性の自律神経障害や、アルコールや利尿剤、抗うつ薬などの薬剤性の自律神経障害などと比較して、純粋という用語が使われているということだと思います。
神経心臓性失神・・・神経調節性低血圧症(神経調節性失神)と同義。一般に脳貧血。神経の反射作用により生じる。
徴候と症状(Signs and symptoms)
自律神経障害の症状は多数あり、そして人によって広くさまざまとなっています。自律神経障害は全身に影響をおよぼすため、多くの症状はその人の生活の質(QOL)に大きく変化を与えるものとなります。自律神経障害を持った患者はひとそれぞれさまざまで、軽い人もいれば完全に寝たきりで障害者となる人もいます。
自律神経障害の患者に起きる主な症状は以下のようなものがあります。
・過度の倦怠感
・過剰なのどの渇き(多飲症)
・立ちくらみやめまい
・不安やパニック(ただし精神的な要因で起きるものではない)
・心拍数の上昇または下降
・起立性低血圧、時にその結果として起きる失神(卒倒)
しばしば神経障害に関連付けられる他の症状としては次のようなものも含まれます。胃不全麻痺(胃排出遅延)、頭痛、蒼白、倦怠感、顔面紅潮、塩分の欲求、散瞳(瞳孔が異常に大きく開くこと)、便秘、下痢、吐き気、胃酸の逆流、視覚障害、しびれ、神経の痛み、呼吸困難、胸の痛み、時に意識の喪失やけいれん。自律神経障害は起立性高血圧を引き起こすこともあります。症状の完全なリストは自律神経失調情報ネットワーク(Dysautonomia Information Network)で見つけられるかもしれません。
原因(Causes)
自律神経障害の原因は完全には解明されていないが、以下のものが含まれていると考えられています。
・抗NMDA受容体脳炎を含む自己免疫疾患
・ライム病
・糖尿病
・ボツリヌス中毒症
・脳損傷
・多系統委縮症やパーキンソン病などの神経変性疾患
・遺伝的要因
・遺伝性結合組織病、特にエーラス・ダンロス症候群(EDS)。起立不耐症と EDS に関する研究では、この2つの症候群が同時に起きることは、EDS の人の血管内の結合組織に異常があり、静脈が通常の静水圧に応じて過度に膨張してしまうことによるものであることが示されました。これにより静脈に留めてしまう血液を増加させ、最終的にその症状を引き起こすというものです。
・中枢性塩類喪失症候群のように、自律神経系に損傷を与えてしまう物理的な外傷または怪我
・ミトコンドリア病
・脊髄損傷(自律神経反射異常)
・遺伝性の形態、これはしばしば感覚障害を伴います。(遺伝性の感覚神経・自律神経障害で5種類あります)
管理(Management)
いくつかのケースでは、心臓のアブレーション処置をすることによって心臓の症状を完全に止めることができます。その手法は POTS の患者では推奨されてなくて、実際頻脈を悪化させることもありえます。薬物はまた、長期的に状態を安定化させるために使用されます。ベンゾジアゼピンは不安といった身体的な問題のために使われます。多くの場合、主要な自律神経障害の治療は対症療法や支持療法です。起立不耐症と戦うための処置には、ベッドの頭を高くすること、少ない食事を頻繁に取ること、塩分の多い食事、流動的なものを摂取すること、靴下で圧迫することといったことがあります。自律神経障害の治療は難しく、そして通常は薬物療法と組み合わせることも必要となっています。
予後(Prognosis)
自律神経障害の患者の見通しは(自律神経障害の)特有の診断カテゴリーに依存します。自律神経障害のいくつかは、日常生活の活動を多かれ少なかれ制限しますが、時間をかけて解決するもので生命を脅かすものではないものです。中枢神経が変質した慢性的で進行性でかつ一般的な自律神経障害は、一般的には長期的な見通しは乏しいです。このような患者たちにとって、死は、肺炎、急性呼吸不全、急性の心肺停止から起きることがあります。
訳:まるとん
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※このページを書いてみて、日本語版 Wikipedia の自律神経失調症で書かれていたこととの違いや訳してみて思ったことについてまとめたのがこちらになります。
Wikipedia の "自律神経失調症" (Dysautonomia)を訳して思ったこと~ETS手術と自律神経失調症との関係について~
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