2013年11月25日月曜日

Wikipedia の "イオントフォレーシス" (Iontophoresis)の日本語訳を作りました

Wikipedia のページを翻訳しました。今回はイオントフォレーシス(Iontophoresis)です。
イオントフォレーシスは日本語のウィキペディアには 2013.11.25 時点では記載がないものです。

Wikipedia の規則上、英語の文章を翻訳したものは GNU Free Documentation License の範囲で自由に公開することもできるドキュメントになるということです。その代わり、この文章の著作権は引き続き Wikipedia が持っていることになります。

以下は 2013.11.25 時点の文章を私なりに噛み砕いて訳したものとなります。

イオントフォレーシス(Iontophoresis)

イオントフォレーシス(直訳:イオン泳動法)は物理的なプロセスであって、そのプロセスでは電気を帯びた媒体の中でイオンが拡散して流れています。イオントフォレーシスは他の分子、特に溶媒分子、の拡散する流れによる非電荷分子の伝搬とは区別されるべきものです。例をあげると電気浸透、これはすなわちイオントフォレーシスのクロス効果として伝搬される非荷電溶媒分子の流れによるものです。イオントフォレーシスと電気浸透の組み合わせはエレクトロフォレーシス(直訳:電気泳動法)と呼ばれています。これは電場で発生する物質の能動的な移動になります。この移動する力は化学的な流束の単位で計られ、一般的な単位は umol/㎠h となっています。

イオントフォレーシスは単に研究室の実験にとどまらず、治療や診断にも活用されています。

用途(Uses)

研究所への活用(Laboratory uses)

イオントフォレーシスは、研究所の実験で、特に神経薬理学の分野で、活用されています。伝達分子は本来神経細胞間で信号を通します。マイクロイオンフォレーシスを含むマイクロエレクトロフォレーシス(直訳:微小電気泳動法)の技術によって、近接し生きていて本来機能するはずの神経細胞間で、神経伝達物質および他の化学物質を人工的に投与することができ、それらの細胞の活動を至る所で記録することができます。その薬理学的特性と自然の役割を解明するために、この技術が使われています。

治療への活用(Therapeutic uses)

治療上、電気的薬剤投与(EDMA)は皮膚を通じて薬剤や他の化学物質を供給します。いわば、針を使わずに注入することであり、それ故に"非侵襲性"として説明されることもあります。それは電界を使わないで皮膚に貼り付けるパッチとは異なるものです。電気に反発する力を使って、皮膚を介して、通常薬や生物活性剤といった荷電物質を投入します。皮膚の表面に置いたイオン導入装置に小電流を与えます。荷電された媒介やその溶媒が含まれます。反対極の装置あるいは皮膚電極は戻りの電流が流れます。1つあるいは2つの機器が活性成分およびその溶媒を含む溶液で満たされます。正に帯電した方は、カソードと呼ばれ、正に荷電した化学物質を反発し、その一方で、負に帯電した方は、アノードと呼ばれ、皮膚の中で負に帯電した物質を反発します。

イオントフォレーシスで取り扱われる一般的な症状には、足底筋膜炎、滑液包炎、あるタイプの手掌足底多汗症といったものが含まれます。

イオントフォレーシスは、一般的には、抗炎症薬の投入のため、理学療法士や作業療法士によって使われます。

多汗症の治療において、軽度の場合であれば、水道水が良く選ばれます。ひどい多汗症のケースにおいては、臭化グリコピロニウム、つまり抗コリン剤が使われます。

診断への活用(Diagnostic uses)

アセチルコリンのイオントフォレーシスは、一酸化窒素とその結果として生じる微小血管の血管拡張の内皮依存の生成を刺激することによって、内皮の状態をテストする方法として研究に使われます。アセチルコリンは正に帯電しているので、アノード側に配置されます。

ピロカルピンイオントフォレーシスは、嚢胞性線維症の診断された際に、汗の分泌を刺激するためにしばしば利用されます。

リバースイオントフォレーシスは、検出するために分子を体内から取り除く技術です。緩衝化されたpHで皮膚を負に帯電することで、ナトリウムやカリウムイオンといった陽イオンに対して透過選択性となり、電気透過して溶媒の流れをアノードに向けるイオントフォーレシスをすることができる。そして電気透過はエレクトロフォレーシスを引き起こし、グルコースを含む中性分子は皮膚を通過して移動します。これは皮膚の層を通過して血液中のグルコースを検出する GlucoWatch といった装置で現在使われています。

訳:まるとん

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※イオントフォレーシスのことについてはこちら(コメント広場のドライオニックの項目)も参考にしてくださいね。

1 件のコメント:

  1. この記事だけではなんとなくしか分からないので、イオントフォレーシスの原理についてもう少し具体的に調べてみました。

    その記事はこちらです。

    イオントフォレーシスの原理について調べてみました
    http://marumarutonton.blogspot.jp/2018/02/blog-post_18.html

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