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2013年11月3日日曜日

Wikipedia の "多汗症" (Hyperhidrosis)の日本語訳を作りました

Wikipedia の翻訳、次は多汗症です。
訳したのは英語の Hyperhidrosis のページになりますが、日本語版ウィキペディアに 多汗症 という日本語のページ もあります。従って日本語のページを先に見て、その上で興味があったら見るといいかもしれないです。「分類」の項の内容は一緒ですが、その他は書かれている内容が若干異なります。並べて見比べてみるのも良いと思います。

Wikipedia の規則上、英語の文章を翻訳したものは GNU Free Documentation License の範囲で自由に公開することもできるドキュメントになるということです。その代わり、この文章の著作権は引き続き Wikipedia が持っていることになります。

以下は 2013.11.3 時点の文章を私なりに噛み砕いて訳したものとなります。

多汗症(Hyperhidrosis)

多汗症とは、体温調節のために必要な量をはるかに超えて、汗が異常に増加した状態となることです。その症状は、心理的観点、感情的観点、そして社会的な観点から、生活の質(quality of life)に対して大きな負担をかけるものです。そういったことから、サイレント・ハンディキャップ(silent handicap)とも呼ばれています。

分類(Classification)

多汗症は、全身となるか、または身体の特定の部分に局所化したものか、のどちらかになります。手、足、わきの下、足の付け根といった領域は、比較的汗腺が高密度になっているので、汗が最も活発に出る所となっています。過度の汗が例えば手のひら、足の裏、顔、わきの下、頭皮といった所で局所化して発生した時、焦点多汗症であるとか局所多汗症と言われます。全身多汗症は通常体全体で起きるもので、基礎疾患の結果です。
※英語では"primary or focal hyperhidrosis" となっていましたが、都合良く訳すために "焦点多汗症であるとか局所多汗症と言われる" と書くことにしました。

多汗症は先天性なのか、あるいは後天性なのか、その発生の仕方によっても分類されることがあります。局所多汗症は青年期かあるいはそれ以前に始まることが分かっていて、常染色体性優性遺伝特質として遺伝しているらしいのです。局所多汗症は、人生のいつでも起こりえる全身多汗症と区別して取り扱わなくてはいけません。全身多汗症は甲状腺や下垂体の病気、糖尿病、腫瘍、痛風、更年期障害、特定の薬、水銀中毒といったことに起因するものです。

多汗症はまた手足多汗症(おもに手や足に汗をかく症状)、味覚性多汗症、全身多汗症、そして局所多汗症という4つに分類することもあるかもしれません。

別の方法では、多汗症は汗の影響のある皮膚の量であるとかその症状の考えられる原因によって分類されることもあります。このアプローチでは、100㎠ よりも広いエリアで(そして身体中に汗をかく全身多汗に至るまで)過剰な汗をかくことは、小さいエリアで汗をかくこととは区別して取り扱われます。

原因(Cause)

交感神経の過剰な活動が局所多汗症を引き起こすと主張する外科医もいますが、局所多汗症の原因は分かってません。緊張や興奮は多くの患者にとって症状を悪化させうるものです。他にもそうなる要因はあって、特定の食べ物や飲み物、ニコチン、カフェイン、そして香りが汗を出す反応のトリガーとなることもあります。

患者たちがよく口にすることは、彼らは汗をかくので神経質になり、神経質になるのでもっと汗をかくということです。

比較的大きなエリアでの多汗症(全身多汗症; 100㎠ 以上)

・脊髄損傷(spinal cord injuries)の経験のある人
  ・自律神経反射異常(Autonomic dysreflexia)
  ・起立性低血圧症(Orthostatic hypotension)
  ・外傷後脊髄空洞症(Posttraumatic syringomyelia)

・末梢神経障害者(Associated with peripheral neuropathies)
  ・家族性自律神経障害(ライリー-デイ 症候群)
  ・痛みの感覚を持たない先天性自律神経障害(Congenital autonomic dysfunction with universal pain loss)
  ・寒冷誘発性発汗症候群(cold-induced sweating syndrome)の人が寒いところにさらされること

・脳障害(brain lesions)の疑いがある人
  ・低体温症の発作(Episodic with hypothermia)(ハイネス‐バニック症候群)
  ・低体温症のない発作(Episodic without hypothermia)
  ・嗅覚(Olfactory)

・胸腔内の腫瘍あるいは病変の人(Associated with intrathoracic neoplasms or lesions)

・全身性の医療上の問題(systemic medical problems)を抱えた人
  ・褐色細胞腫(Pheochromocytoma)
  ・パーキンソン病(Parkinson's disease)
  ・甲状腺機能亢進症(Thyrotoxicosis)
  ・糖尿病(Diabetes mellitus)
  ・鬱血性心不全(Congestive heart failure)
  ・不安神経症(Anxiety)
  ・閉経状態(Menopausal state)
  ・薬や中毒によるもの(Due to drugs or poisoning)
  ・寝汗(Night sweats)
  ・代償性(Compensatory)

・毒素(toxins)との関連のある人
  ・慢性的な低線量の水銀曝露によって引き起こされた小児先端疼痛(Infantile acrodynia)で、カテコールアミンを高濃度に蓄積し、その結果褐色細胞腫にも似た臨床ケースとなった。

比較的小さなエリアでの多汗症(100㎠ 以下)

・特発性片側限局性多汗症(Idiopathic unilateral circumscribed hyperhydrosis)

・以下のものとの関連が報告されました。
  ・青色ゴム乳首様母斑症候群(Blue rubber bleb nevus)
  ・グロームス腫瘍(Glomus tumor)
  ・POEMS症候群(POEMS syndrome)
  ・灼熱脚症候群(Burning feet syndrome)
  ・塹壕足炎(Trench foot)
  ・灼熱痛(Causalgia)
  ・強皮骨膜症(Pachydermoperiostosis)
  ・前脛骨粘液水腫(Pretibial myxedema)

・以下のものに関連付けられた味覚性発汗(Gustatory sweating)
  ・脳炎(Encephalitis)
  ・脊髄空洞症(Syringomyelia)
  ・糖尿病性神経障害(Diabetic neuropathies)
  ・帯状疱疹(Herpes zoster)
  ・耳下腺炎(Parotitis)
  ・耳下腺膿瘍(Parotid abscesses)
  ・胸部交感神経切除(Thoracic sympathectomy)
  ・耳介側頭またはフライ症候群(Auriculotemporal or Frey's syndrome)

・その他さまざまなケースにおいて
  ・涙腺発汗(Lacrimal sweating)(節後交感神経の不足によって起きる。しばしばレーダー症候群に見られる。)
  ・ハーレクイン症候群(Harlequin syndrome)
  ・感情的多汗症(Emotional hyperhidrosis)

処置(Treatment)


塩化アルミニウムは制汗剤としてよく使われます。しかし多汗症の患者たちは症状に対してもっと効果が得られるようもっと高濃度にした溶液やジェルを必要としています。これらの制汗剤の溶液や多汗症のジェルはわきの下の領域の治療で特に効果を発揮します。通常結果が得られるのに3日から5日程度かかります。主な副作用としては皮膚の炎症があります。足の裏および手の平のひどい多汗症の症例で、高濃度の塩化アルミニウムの制汗剤という保守的な手法を使って、成功事例がいくつかあります。カナダの多汗症諮問委員会(Canadian Hyperhidrosis Advisory Committee)は臨床で得られた証拠に基づく局所多汗症治療のガイドラインを公開しています。その中でわきの下、足の裏、手のひらの多汗症の初期治療としては塩化アルミニウム水和物サリチル酸ジェル(aluminium chloride hexahydrate salicylic acid gel)を推奨しています。

A型ボツリヌス毒素(Botox とか Dysport ともいう)の注射は、汗腺に影響を与える神経の働きをブロックするために使われます。効果は注射の部位にもよりますが 3~9 カ月続きます。わきの下の発汗のために使うのであれば、米国食品医薬品局(FDA)に認可されています。
※ボトックスやディスポートはA型ボツリヌス毒素の商品名。

抗コリン剤の中には多汗症を軽減するものもあります。オキシブチニン(ブランド名 Ditropan)は、眠気、視覚症状、口の中や粘膜を分泌する膜組織の乾き、を含む重要な副作用を持っているのですが、効果が確約されているものの一つです。Ditropan XL という薬は、長い間服用することによって汗を減らす効果がある、といった評判もあります。グリコピロレートの Robinul は Off-label ベースで使われる別の薬となっています。抗コリン剤の薬物はオキシブチニンとほとんど同じ効果があるようで、また、似たような副作用も持っています。プロパンテリン臭化物(Probanthine)やベンズトロピン(Cogentin)も、効果のある他の抗コリン剤として含めようとしています。
※Probanthine はプロバンサインと書いた方が分かりやすいかもしれません。

外科手術
汗腺除去または破壊は、腋窩(えきか)多汗症のために行われる外科手術の選択肢の一つとなっています。汗腺吸引、retrodermal currettage、そして腋窩脂肪吸引、ベイザー波を使った脂肪吸引(Vaser)や、レーザーによる感染除去(Laser Sweat Ablation)といった具合に、汗腺を除去または破壊するたくさんの方法があります。汗腺吸引は脂肪吸引法(liposuction)から適応された技術です。
※retrodermal currettage: 後方+皮膚+掻爬(そうは)手術。後方へ皮膚をかきだすということと思いました。ただ後方の皮膚をかき出すのかもしれません。適切な訳も見当たらなかったので、英語のまま載せました。

他に行われる主要な手術の選択肢は内視鏡胸部交感神経切除術(ETS)です。この手術では、背骨に沿って走っている主要な交感神経連鎖上の胸部神経節を、切除したり、焼灼(しょうしゃく)したり、クランプしたりします。クランプはブロックした後でもリバーサルできるよう意図されています。ETS は一般的に "安全で、再生可能で、効果的な手法であり、ほとんどの患者はその結果に満足している" と考えられています。満足度は 80% を超えて報告されていて、子供たちが高い値に引き上げています。この手法では、患者のおよそ 85~95% で、過剰な手の発汗を救済してくれます。ETS は、腋窩多汗症治療、赤面症、顔の多汗で役に立つかもしれません。しかしながら、赤面症や顔の多汗ではうまく行かない可能性も高く、また、望ましくない副作用に直面する可能性もあります。

ETS の副作用は、ささいなものから破滅的なものまで、広い範囲にわたって述べられています。ETS における最も一般的な副作用は、手術前とは別のさまざまな場所に出る発汗、すなわち代償性発汗です。代償性発汗に関係したこの主要は副作用は、20~80% の人達に見ることができます。1~51% の人達が代償性発汗の結果として生活の質(QOL)が下がったということを主張しつつも、ほとんどの人は代償性発汗が耐えることができるものと考えています。熱に反応する体全体の発汗作用は交感神経切除の後増えることが報告されています。

さらに付け加えると、手術前に持っていた汗の問題は、時には手術後6カ月以内に、神経の再生によって再発する可能性があります。

他の副作用は、ホルネル症候群(約1%)、味覚性発汗(25%未満)、時には非常に乾燥した手(紙やすりのような手)といったことが、含まれています。一部の患者は心臓神経の除神経を経験します。その結果、休息時および運動時の心拍数の10%の低下を引き起こし、心拍の機能障害につながります。

腰部交感神経切除は、胸部交感神経切除では和らげることのできない足の多汗の患者のために行われる、比較的新しい方法です。この手法において、腰部の交感神経の連鎖は、重度あるいは過剰な汗の汗を抑える目的で、クリップで止めたり分断したりします。成功率は約 97%、そして、手術は(神経は切らないという)他の保守的な対策を試した後にのみ行われるべきです。この種の交感神経切除は、低血圧症や射精の退行に関して、もはや論争の余地はないものとなっています。この手術の結果として、射精の退行、勃起や高血圧を維持することができないことは、起きないことがまれであることが明らかとなっています。技術報告や症例を紹介する雑誌の記事で以下のような報告がありました。手術で腰部交感神経切除で神経を2つに分離した18人の男性は、例外なく手術後性的障害を持ちました。その一方で女性の患者には高血圧症や性的な障害について一つも報告はありませんでした。経皮的交感神経切除は、フェノールの注入によって神経のブロックを行うやり方で、ボツリヌス法と同様比較的最小限の侵入で行うことのできるものです。その手法はほとんどのケースで一時的に症状を救済します。医療専門家の中には、外科的な手法によって永久に交感神経切除をする前に、このより保守的な手法を行うことを提唱する人もいます。

非外科的治療
イオントフォレーシスは、どのようなアクションで広まったのかは定かではないですが、1950年代に初めて記述されました。それぞれに伝導体を入れた2つの水の入ったくぼみに患部を置きます。手や足が、2つの正と負に帯電した水の入ったくぼみの間の、導線の役割をします。その領域に弱い電流が流れると、水中の無機質が汗の量を制限するよう汗腺の働きを妨げます。劇的な効果を得られる人がいる一方で全く効果のない人もいます。その機材は苦痛を伴うもの(ここでいう苦痛は、傷は些細な傷に制限されます。使っている間身体を機材に適する状態に合わせておかないといけないというものです。)で、そして時間のかかる方法です。その機材は通常手のひらや足のために使われますが、わきの下の領域や切断手術を受けた人の切断面(amputees)の領域のために作られたものもあります。

予後と影響(Prognosis and impact)

多汗症は、冷たいじっとりした汗、脱水、ふやけた皮膚の結果として皮膚の感染症、といった、生理的な結果となることがあります。多汗症は、個人が生活するうえで破滅的な感情に影響を及ぼすこともまたありえるものです。

この症状に悩む人は自身の状態を常に気にするし、この問題に何とか対応しようと自身のライフスタイルを変更しようとします。それを気にすることによって、仕事、学問、社会生活をできなくさせることもありえます。心理的にも消耗させ、日常の多くの仕事ができなくなるほどのものです。

過度の発汗や手のひらの局所多汗症は、安全にものを握るといったたくさんの日常的な活動を妨げます。局所多汗症患者には、他人と握手をするいった、肉体的な接触をする場面を避ける人もいます。脇の下の汗染みを隠して腕を動かせなかったり、ポーズを制限したりもします。重症例では、シャツを一日に何度も変えなくてはならなくなります。加えて、汗をかくことに対して気にすることが、より汗を悪化してしまう可能性もあります。足の過剰な汗は、靴の中で汗ですべってしまうので、かかとの高い靴やつま先のあいた靴を履くことを難しくします。

一部の職業では、多汗症患者が行うことを困難にさせています。例えば、ナイフを器用に扱うことを要求する職業は、手の多汗症患者は安全に行えないしれません。脱水症状のリスクもあるので、非常に高温な場所で(特に湿度も高い場合には)、多汗症患者は行動する能力を制限してしまうかもしれません。楽器を演奏することも、手の汗があると、不快であったり難しくしたりします。

疫学(Epidemiology)

局所多汗症は、アメリカの人口の 2.8% と推定されています。男性にも女性にも同様に起きていて、特に一般的に起きるのは 25~64歳の間です。子供時代の初期から悩む人もいます。約 30~50% の患者には家族にも悩む人がいて、遺伝的な要因があることを示唆しています。

2006年、日本の佐賀大学の研究員が、手の多汗症の遺伝子が 14q11.2–q13 という場所にあるとレポートしました。

訳:まるとん

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※このページを書いてみて、日本語版の多汗症と英語版の Hyperhidrosis の2つを比べてまとめたのがこちらになります。
Wikipedia の "多汗症" (Hyperhidrosis)のページを訳してみて~日本語版 Wikipedia と書かれていた内容の違いについて~

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